「日本景観生態学会 第23回 盛岡大会」2日目

エクスカーション 「三陸復興国立公園の自然環境と復興工事の現場」

平成25年6月29日の公開シンポジウムに引き続き、6月30日は「三陸復興国立公園の自然環境と復興工事の現場」をテーマに、宮古市真崎海岸の自然景観と宮古市田老の防潮堤工事現場を見学しました。

■宮古市真崎海岸の状況

宮古市真崎海岸では大津波の被害を受けた砂浜で、海岸植生の現況を観察しました。震災後から現地を調査されている大上幹彦氏から、「海浜植生は震災後すごいスピードで再生してきたが、復旧工事等の人為的攪乱を受けた場所ではすぐに消滅してしまう」との解説を頂きました。現地に生育している植物は花をつけており、2年前に大津波による影響を受けた場所とは思えないような景観となっていました。


■竹原先生による現地説明

■大上さんによる現地説明

■海浜部の砂浜と後背地に成立した植生

■津波の痕跡と津波後に成立した植生

■津波により立ち枯れたスギ

■津波後に成立した草原(ニッコウキスゲ)

■津波後に生育が確認されたスナビキソウ

■津波後に生育が確認されたハマベンケイソウ

■宮古市田老の防潮堤

宮古市田老では防潮堤工事現場を見学しました。宮古市田老の防潮堤は、明治29年、昭和8年等の三陸大津波を受けて昭和9年から整備に着手し、昭和53年に完成した、総延長2,433m、T.P.+10.0m の、いわゆる“田老万里の長城“と呼ばれる施設です。2年前の大津波はこの防潮堤をゆうに超え、陸側の家屋を飲み込みました。ここでは、大津波による被害の状況と今後整備する防潮堤の計画、街づくりについて、岩手県河川課の担当者から説明を頂きました。本地区においては、計画策定にあたって10回以上の住民説明会を開催し、行政と住民が一緒に考えながら進めたとのことで、住民の意見を尊重してスピード感をもって復興計画を立案した好事例だと感じました。


■岩手県職員による説明

■津波により被災した防潮堤(一線堤)

■防潮堤より海側の漁業仮施設

■陸側の集落跡

■西に延びる防潮堤(二線堤)

■北に延びる防潮堤(二線堤)

■集落跡からの防潮堤(二線堤)の状況

■集落跡からの防潮堤(二線堤)の状況

今回、上記2か所を見学し、2年前の津波は人間にとっては想定外の出来事であったが、自然にとっては想定内のイベント(攪乱)であった印象を受けました。前日のシンポジウムでも議論になりましたが、復旧・復興にあたっては、その土地に住む住民の意見を尊重することが重要であるのは当然ですが、自然環境の保全とどのように折り合いをつけながら進めていくのか、ベストな方法を模索し議論を尽くしておく必要があるのではないかと感じました。三陸沿岸域は、農林水産業や観光業が主要な産業であり、今後もこのような生態系サービスを継続的に享受していくことになることを考慮すると、次世代以降が同様にもしくは今以上に自然の恵みを享受できるような復旧・復興が必要ではないかと思いました。

報告者:藤田大知 応用地質(株)

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